中国経済ウォッチ #042|中国科学院傘下の微電子研究所が、米国の対中制裁で入手できないASML製EUV露光装置の代わりに…
🏦中国経済ウォッチ #042|2026/09/19
中国科学院傘下の微電子研究所が、米国の対中制裁で入手できないASML製EUV露光装置の代わりに、旧世代のDUV露光技術を用いて3nm以下のプロセスノード開発に初期段階で成功したと発表。葉天春研究員は「中国向けの3nm未満サブプロセス」の実現に向けた新たな設計経路を確立したと述べている。
背景にあるのは、米国によるASMLのEUV装置輸出禁止だ。現行の対中輸出規制により、7nm以下の微細加工に必須とされるEUV露光装置の中国への販売はほぼ遮断されている。この制約が、中国の半導体産業に構造的な課題を与えてきた。ここで注目すべきは、中国科学院が「DUVを用いた代替経路」の開発を進めている点だ。DUVは1990年代から存在する旧世代技術で、本来は14~28nm世代向けとされてきた。それを積み重ねる手法(スタックド・ナノシート・チャネルGAA CMOS構造)で微細化を補う戦略である。この試みは極めて困難で、EUV使用時と同等の製造歩留まりや製造コストを達成することは現実的ではないとみられている。ただし、完全に自給できない状況よりは「少なくとも初期試作品の製造パスが存在する」という事実は、中国当局と国内産業界に心理的な支えをもたらし、長期的な自主開発への道筋を示唆する。Digitimesの報道によれば、複数の国内ファブ企業もこの経路への参加を検討中だという。
歴史的には、かつての日本も1980年代の米国からの半導体輸出規制下で、限定的な技術で生産をつなぎながら自主技術開発を進めた。中国の現在の状況もこれに類似している。ただし規模とスピードは比較にならない。短期的には、3nm以下の高性能チップは引き続き台湾TSMC・韓国Samsung頼みとなり、中国産スマートフォンやAI関連製品の国際競争力に影響する。アリエクスプレスの仕入れ側からみると、国内メーカーの「高性能チップ調達難」は続くため、製品の高度化は遅延する可能性がある。一方で、DUV世代でも実用的な性能を引き出す設計工夫が進めば、中程度の性能が必要な家電・IoT製品向けチップは国産化が進み、その分のコスト圧縮が中国製品の価格競争力につながる可能性もある。日本の消費者にとっては「中国製品の品質・性能の二極化」がさらに顕著になるシナリオが現実味を帯びている。
★★★☆☆(中期経済リスク度)
中国の自主開発の進展は事実だが、DUV活用による3nm製造の商業化までには数年のギャップが存在する。その間、対中制裁が緩和されるか、さらに強化されるか——そのどちらに転ぶかが、アジア太平洋地域の半導体サプライチェーン全体の価格と品質を左右する分岐点となりそうだ。
📰 出典:SCMP China
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