前回(#46)で、円安で日本が世界最安の市場になり、メーカーは国内専用モデルという「ロック」で流出を防いでいる、と書いた。では、ロックの掛けようがない部品はどうなるのか。今回はDDR5メモリで確かめてみたい。
9月後半の秋葉原で、DDR5の16GB×2枚組の最安値は49,980円だった。税抜きをドルに直すと約289ドル(1ドル=157.28円)。同じクラスは、米国の通常価格で425〜560ドルである。一時的な特価で214ドルという例もあるにはあるが、相場で見れば日本は3〜4割安い。差がはっきり出るのは大容量で、32GB×2枚組は日本が566〜712ドル、米国は889〜1,099ドルだ。
当方が驚いたのは、ここからである。DDR5の16Gbチップのスポット価格は、9月24日時点で57.67ドル。選別落ち品でも25.50ドルだ。16GB×2枚組にはこのチップが16枚載るので、チップ代だけで408〜923ドルになる。日本の最安値289ドルは、選別落ちチップの代金すら下回っているのだ。メーカーは長期契約でもっと安く仕入れているとはいえ、いま店頭に並んでいるのが高騰前に仕入れた在庫であることは、ほぼ間違いない。
安い在庫は、売れた順に高い値段の品へ入れ替わる。その兆しはもう数字に出ている。8月前半に今年の最安値39,980円をつけた16GB×2枚組は、9月後半には49,980円。わずか一か月半で25%上がった。32GB×2枚組のDDR5-6000は、特価品の品切れで一気に2万5千円上がり、扱う店も半分に減っている。調査会社TrendForceは、10〜12月の契約価格もAIサーバー向けの需要で上がり続けると見ている。世界より安いものは、いずれ世界へ流れる。輸出目的のまとめ買いが入れば、入れ替わりはさらに早まるだろう。
もちろんブレーキもある。9月25日のように円高へ振れれば価格差は縮むし、値上げでPCやスマホの売れ行きが落ちていることも、価格を抑える力になる。
結論を書こう。日本のメモリが安いのは、日本が特別だからではない。値上がりが店頭に届くのが遅れているだけだ。その遅れは、年末にかけて静かに埋まっていくはずである。増設の予定があるなら今すぐ買え、とまでは言わない。ただ、「そのうち下がる」は、たぶんもう通用しない。
※あくまでも意見論評の範囲で~
参考データ
・AKIBA PC Hotline!|9月後半のメモリ価格
・AKIBA PC Hotline!|8月前半のメモリ価格
・Tom's Hardware|RAM price tracking 2026
・Capital and Compute|DDR5 Price Tracker
・TrendForce|DRAM Spot Price
・関連:アリエク経済学39(CPU・メモリ・SSD・マザボは今後どうなる?)/アリエク経済学17(メモリ高騰について)
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