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📊 アリエク経済学 #50

アリエク経済学50(DDR5は暴落するのか?――アリエクに出始めた中国製メモリと5つの状況証拠)

2026年11月2日|アリ推
アリエク経済学

11月1日の夜、Xでこうポストした。表示は1.3万件ほどだった。

アリエクで売られているDDR5のメモリ(中国製造)、セール始まったらチョイお安く売られている感以外に、暴落の前兆始まっている気がするんだけど。多分、在庫がだぶつき始めている気がするぜ!

続けて、「AIデータセンターで使うのはチップそのもので、DDR5は少ない」「最低半値以下にはなると思う」「グラボがフリマで売れていないのが兆候」「アリエクで買えなかったDDR5が買えるようになった」とも書いた。どれも肌感覚の話である。そこで今回は、直接の証拠ではなく、出典の取れる状況証拠を集めて、「暴落の予兆」として筋が通るかを確かめる。関連は#47(日本のメモリの値段)と#49(GPU高騰とローカルLLM)である。

先に結論

前提 足元の価格は、まだ上がっている

まず現在地を確認する。秋葉原の店頭では、10月後半もDDR5の値上がりが続いた。64GBのキットは、在庫を持つ店自体が減っている。

時期対象(秋葉原の店頭)価格(円)前回比(円)
10月後半DDR5-5600 16GB×2(最安)59,980+5,180
10月後半DDR5-6000 16GB×2(最安)72,980+4,010
10月後半DDR5-5600 32GB×2(最安)104,980+7,000
10月前半DDR5-5600 64GB×2(平均)399,886+66,786

大手の取引価格も同じ向きである。TrendForceは、10〜12月の汎用DRAMの契約価格を、前期比10〜15%の上昇と予想している。10月のDDR4(8Gb)の平均契約価格は27.50ドルで、9月から5.77%上がり、過去最高を更新したと報じられている。

つまり、「暴落が始まった」と言える数字は、まだどこにも出ていない。以下は、その手前で起きている変化の話である。

状況証拠1 中国のAIデータセンターは、作りすぎている

状況証拠2 中国のメモリメーカーCXMTが、急速に増産している

状況証拠3 米国のデータセンターは、電力で詰まっている

状況証拠4 AIインフラ企業の資金繰りに、不安が出ている

状況証拠5 アリエクの売り場で起きていること(筆者の観察)

ここは数字で測ったものではなく、毎日売り場を見ている筆者の観察である。セールに入ってから、中国製チップのDDR5がわずかに安くなり、以前は在庫がなく買えなかったDDR5が買えるようになった。状況証拠1と2の経路が正しければ、最初に変化が見えるのは、中国製のメモリが直接並ぶアリエクの売り場のはずである。その意味で、この観察は「予兆の現場」になりうる。

反証 ポストのうち、弱い・事実と違うところ

自分のポストにも、検証すると弱い部分があった。正直に並べておく。

ポストの主張判定理由
AIデータセンターで使うのはチップで、DDR5は少ない事実と違うAIサーバーは、GPUのHBMとは別に、サーバー向けDDR5(RDIMM)を大量に積む。今回の高騰は、メーカーが利益率の高いHBMとサーバー向けDRAMに生産を振り向け、PC向けが絞られたことが主因とされる
グラボがフリマで売れていないのが兆候根拠が弱いGPUとメモリは別の市場で、売れ行きを示す数字も取れていない
(補強として考えた)ローカルLLMの台頭逆向きローカルLLMは、個人のPCに64GBや128GBのメモリを積ませる方向に働く。一般向けDDR5の需要を増やす材料である
最低半値以下になる業界予想より強気PC向けDDR5の値下がりは2028年からで、幅は平均15〜20%にとどまるという予測がある。2030年も世界のDRAMは約25%不足するという分析もある
アリエクの中国製DDR5がだぶつき始めた状況証拠と整合中国のデータセンター過剰とCXMTの増産から、国内で吸収しきれない分が出てくる経路が説明できる

推論 予兆をつなぐと、こう読める

状況証拠を、DDR5の値段への効き方で整理する。強さは筆者の評価である。

予兆DDR5価格への向き強さ効く範囲
中国のデータセンター過剰下げ中中国国内のサーバー需要
CXMTの増産下げ強中国製DDR5(2027〜2028年に本格化)
米国のデータセンターの遅れ下げ(一時的)弱〜中サーバー向けDRAMの購入時期
AIインフラの資金繰り不安下げ(先行)中今後の設備投資の伸び
米大手の旺盛な投資・HBMへの生産シフト上げ強世界全体のDRAM
ローカルLLMの広がり上げ弱一般向けDDR5

下げの材料は、どれも「需要が消えた」ではなく、「お金と電力が詰まって伸びが鈍り始めた」ところに、中国勢の増産が重なる、という形である。メモリは市況品で、設備投資の伸びが鈍ったところで値段が一気に向きを変えることがある。ただ、上げの材料(米大手の投資とHBMへの生産シフト)は、いまも最も強い。

そのため、もし崩れるなら、順番は次のようになると読む。

確認できなかったこと

これから見ておく指標

買う側の判断材料

※あくまでも意見論評の範囲で~

参考データ

本文の数字と見解の出典は、すべてこの欄にまとめている。本文で実際に開いたページだけを載せ、記事の日付はページに記載のものとし、記載がないものは「日付不明」とした。
・AKIBA PC Hotline!|10月前半のメモリ価格(調査期間 2026/9/26〜10/10)― 64GB×2枚組が約40万円
・ゲームPCの秘密基地|国内BTO市場・週間ブリーフィング 10月第5週(調査期間 2026/10/17〜10/24)― DDR5の続騰、64GBキットの在庫減少
・Tech Insider|DRAM Hits Record as NAND Ends 21-Month Climb(2026/10)― DDR4の契約価格、TrendForceの10〜12月予想、生産の振り向け
・Light Reading|Tumbling prices end China's AI data center binge(2025/4/1)― 中国のGPUサーバーのレンタル料、遊休率の試算
・Tom's Hardware|SMICトップの警告(2026/2/11)― 遊休化の懸念、西部の施設の稼働率
・GAZLOG|CXMTが年内にMicron級の生産能力に到達へ(2026/7/16)― 生産能力、増産分の国内吸収、2030年の供給不足予測
・GAZLOG|CXMTのDRAM生産能力は2028年末にほぼ倍増へ(2026/10/21)― 生産能力の見通し、2028年の値下がり幅の予測
・@IT 頭脳放談|中国半導体メーカー「CXMT」が引き起こすDRAM市場の大改編(2026/10/23)― 4F2のRDIMM、売上シェア、10/13の株価
・Half of AI data centers are delayed and canceled(2026/4/9、TechSpotなどの報道の要約)― 米国の計画の遅延、変圧器の納期
・The Motley Fool|CoreWeave Dropped 20% Last Week(2026/10/19)― 株価、債務、設備投資、受注残
・CNBC|Neocloud stocks drop after Microsoft capex comes in below expectations(2026/10/28)― 見出しのみ確認
メモリ不足や需要の原因、価格の予測は、すべて報道・調査会社・解説記事の見解であり、メーカーの一次資料で直接確認したものではない。
・関連:アリエク経済学47(日本のメモリは、なぜ世界で一番安いのか)/アリエク経済学49(GPU高騰は国内企業のローカルLLM需要が原因か?)


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